『穴熊社長の、蛙鳴蝉噪(あめいせんそう) 2013年1月号』

2013年1月号となります。本年もよろしくお願い申し上げます。時節柄、食傷気味の時期かと思いますが、調理師学校の話。最近の若者が目指す調理師の人気ジャンルは…さてなんでしょう?1位は、圧倒的にパティシエ。洋菓子やスイーツが人気です。続いて、イタリアン、フレンチ、中華、そして日本食は、残念ながら5位だそうです。日本食不人気の理由のひとつは、昔ながらの厳しい徒弟制度を嫌っての事とか。反面、世界に目をやれば和食人気は広がりを見せ、外国人の和食希望者は増えているそうです。国技と言われる大相撲の横綱は、日本人以上に日本人らしい外国人力士。今夏のオリンピックの柔道は…。一方、サッカーや野球は世界を舞台に活躍する選手が増えています。小学校ではゆとり教育が転換されたのに加え、武道とダンスをを履修する事になったのは、そんな背景もあるのでしょうか。 時代の変化や変遷によって、変えていくことも大切だとは思いますが、変えてはいけなないもの、大切に伝承しなければならないものもありますね。「不易流行」、「温故知新」といった2千年以上前から受け継がれた言葉が今も残っている事がそれを物語っています。
とはいえ、その判断基準は難しい。
 敗戦というダメージが、戦前の日本人の高い精神性や美徳までも失わせたと論ぜらる事もあります。封建主義と個人主義は対極なるものとして、二律背反で取捨選択した結果が平成の歪みをつくってはいないか。親を大切にする事や目上を敬う事とを平等を盾に対等に変えてしまってないか。自然への畏敬の念を忘れ、科学は万能だと考えていないか。卑怯って何?恥って何?そんな集積が今の社会の常識をみんなでつくっていく。世界では未だ争いは絶えず、資本主義経済が世界標準だとしても、その限界を感じている識者も少なくありません。不易や温故を尊重した新しい価値観や主義が求めらる時代です。歴史的功績を残したノーベル賞受賞者アインシュタインは、その価値観は、日本人がつくると予言しています。同じく受賞した日本人学者山中教授の授賞式直後、色紙に「初心」と書きました。

これはiPS細胞発見の功績に留まらず、日本人の価値観を示す、世界に誇れる言葉だと感じました。選挙も終わり、新しいリーダーも決まっている頃でしょう。平成25年が価値観で世界をリードする始まりの年となる事を祈ります。
今年も、お元気様です。
(12・12・12)
株 式 会 社 エ マ 商 会  依  馬   邦  夫