『穴熊社長の、蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)2015年9月号』

 東京・調布の飛行場から離陸直後のセスナ機が、近隣の民家に墜落。先月号でも耳を疑うようなニュースを話題にしましたが・・・続きます。民家に住み被害に遭った方はどうすることもできませんでした。真因は目下、不明ですが、何ともやりきれません。調布飛行場は、ニューミュージックの名曲にも歌われたドライブの定番曲。知る人は、複雑な気持ちが増幅するかと思います。
  飛行機の墜落に怯える地域といえば、沖縄県。未だ、国を割るような米軍基地の移設問題。戦時中の沖縄上陸、決戦から70年。幾度の軍事機の事故から、常にそうした恐怖の下に置かれ、尚も開放されない現実があります。国民として目を背けてはならない事柄であっても、目の前の平和を享受している私達。70年の節目の歳に、メディアでも、戦争の記録を今まで以上に、従来、放送を禁じていたような映像まで公開され、先祖の犠牲の下にある日本の平和を次の世代へとつなぐ機運の高まりを信じたいと思います。併せて、まだ戦後、沖縄の復興は終わっておらず、日本人として、そうした意識も忘れてはなりません。
 復興の進まないといえば、3・11の大震災についても同じかと思われます。目の前の日常に精一杯の庶民からすれば、ニュース等受身の情報からしか、その様子を知る機会もありません。特に、福島原発は、廃炉までに数十年はかかり、居住の可能性は見えてきません。先の大戦で被爆国となって敗戦を向かえ、国家として奇跡的な復興を遂げた日本。あの原爆も、地上で爆発していたらそこに人は住めない場所になっていたという指摘があります。空中で爆発したため、放射能が拡散され、被爆地であっても、今の復興がなされたと言われます。
 原子力は、人類の暮らしに必要なエネルギーとすれば確実に安全が確保されねばなりません。また、負の利用法である核兵器。大陸や中東では、軍事手段としてくすぶっています。やがて未来に、核兵器としての利用価値がなくなったときに、その処理方法はないと言われています。ここで私達が騒いでみたところで、何ともならないかもしれませんが、忘れてはならないと思います。
 今朝の新聞にはTPP決裂の記事がありました。世界に経済的互恵関係を得られるルールが、利害の衝突によってまとまりません。武力によらない日本の伝統的な「自利利他(じりりた)」の精神で解決するよう願いたいと思います。
 今月も、お元気様です!!(2015・8・2)

株 式 会 社 エ マ 商 会 代表取締役 依 馬  邦 夫