『穴熊社長の、蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)2015年10月号』

ある幼稚園で、先生がこどもたちに質問をしたそうです。動物園の動物たちを、幸せだと思いますか??こどもたちのほぼ全員が・・・「しあわせ」と答えたそうです。先生はあわてて、「ほんとうに幸せかな?」と何度も、問いかけ、結論の修正を試みたようですが、何度聞いても子供達の答えは、「しあわせ」になったそうです。ジャングルは危険だけど、動物園に居る限り安全です。食べる物には困らず、飢え死にする心配はありません。嵐が来ても園の中にいれば、まず大丈夫。そしてたくさんの子供達を喜ばせることができ、飼育員からも優しく接っせられ、病気や怪我をしても、医療費を負担(?)せずに、獣医にも診てもらえます。これを幸せといわずして、何を幸せというのでしょう・・・ということですね。
幸せの価値観は多様です。現代社会の変化は目まぐるしく、安心・安全・便利になる世の中に対し、危険や危機に対して察知力や対応力が弱くなったり、自然災害に対する無力感を目の当たりしたり。複雑な社会により、抑圧された心が原因で、理解しがたい、理不尽な犯罪に巻き込まれたり、自分中心な犯罪の犠牲になる事故や事件の被害者になったり・・・そう思えば、動物園の中にいる動物を、幸せと思うのは、ごく自然な感覚なのかもしれません。
 それでもと思い、小学生の息子に同じ質問をしてみました。「安全な場所で、毎日、ちゃんとご飯を食べさせてもらえるという意味では幸せといえるかもしれないけれど、自分の行きたいところへ行けなかったり、したい事ができないという意味では、幸せとは言えないかな」・・・そのバランス感覚のある答えに、ほっとした反面、冷静で客観的な発言に、親として微妙な気持ちにも。その話を家内にしてみると、「だいたい、そんな質問をする幼稚園の先生って、どうなのかな?」・・・ん~、それもごもっとも!!そんな話題を文章にしている、おじさんもどうなの?「ん~、どうでしょう?」(長島監督風に読んでね)。 
幸せの価値観は、人によって様々。それぞれの人の幸せの価値観を知り認め合う。お互いによりよい影響を与えあったり、「我以外皆師」と学びう努力をする。お互いの幸せを高め合えるような人間関係を、創る事が、より良い人生、より良い社会を創る源になっているのかも知れませんね。

今月も、お元気様です!!

株 式 会 社 エ マ 商 会  代表取締役  依 馬  邦 夫