『穴熊社長の、蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)2015年3月号』

 東京一極集中を転換し、地方の人口減少に歯止めをかけるために、「地方創生」の国策が講じられます。木曽に暮らす私達にとって、地域の人口減少、少子高齢化の深刻さは深まっています。新聞報道では、政策に対する県下の市町村長の評価は高く、同時に実行していく覚悟と責任も重大と言われます。政策が用意され、待っていれば良くなる程お目出度いものではありません。私達の住む自治体と共に、私達国民(住民)として、地元中小企業としても、ビジョンや方針に沿って、自助・共助・公助の努力をしていかねばならないと、強く思います。
 人口問題の解決は、決して簡単ではありませんが、原理・原則は意外と単純な面も。「家が繁栄する」。「事業が成長する」。この2つが続けば、人口は確保できます。それが出来ないから困っているんじゃないの・・・とご批判もありますね。日本の伝統的な家制度。子が所帯を持って、その家をついでいく。一緒に暮らす。バラバラにならない。それをつなげていく。地域の産業。同じ商いがずっと続くワケはなく、時代の変化に適応した経営が必要。
 事業規模が少しでも拡大・成長していく。雇用規模を増やし、事業を継続していく。こうした家庭や企業の「営みの基本」が持続すれば良い。「勤め先がない・・・」という声も、よく耳にしますが、ないわけではありません。事業意欲の高い会社は、慢性的に人手不足です。むしろ今後、人手不足が原因で事業が継続困難になる可能性も高まっています。「希望する職種に乏しい」という、所謂、「ミスマッチ」が実態に近いかと。特に、若い女性が希望する職種が少ないと、出産できる女性の流出が進み少子高齢化を助長する原因にも。現実的には、「家に捉われない自由」と「国境の壁が低くなった経済社会」により、家庭も企業も、ここに留まる絶対条件がなく、従来の原理・原則が成立しない環境になっているかと思います。
 「立身出世」、「都会で一旗挙げて故郷に錦を飾る」。昭和な発想からすると、都に上る「成功者」のイメージはありますが、誰もがなれる成功者の条件を、「自分の天分を発揮し尽くした人」と説いたのは歴史に残る成功者の松下幸之助です。
自然増が期待できないとすれば社会増につなぐ「住みたい」、「住みやすい」と言ってもらえるような魅力を、私達ひとりひとりが創造していく「自分達の天分を発揮し尽くす努力」が、「初めの半歩」かと思う立春明けです。
今月も、お元気様です!!(2015・2・6)

株 式 会 社 エ マ 商 会 依 馬  邦 夫