『穴熊社長の、蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)2016年2月号』

今年の年明けは、雪も無く穏やかな天候に恵まれた反面、昨年来からの欧州のテロの不穏な動き、世界的な株価の急落、北朝鮮の水素爆弾実験と波乱含みとなりました。国会も新年4日から開会となり、慌しいスタートです。世界が狭くなった現代。少なからず、木曽にも影響はあると思われますが、雪不足のスキー場の方が切実。まずは私達が暮らす地域の事をしっかりと考え、ひとりひとりのできることを確実に実行していくことが求められています。

 アベノミクスの軸のひとつとして「地方版総合戦略」がこの年度末を期限に策定が進められています。既に、完了した自治体もありますが、全て自治体が策定し、実行に移していく年となりました。従来は、中央省庁で決めた政策に従って、その流れに乗っていれば何とかなる時代もあったかもしれません。制度疲労や成熟社会の複雑化等によって、官僚の机上の理論では、国の借金ばかりが膨らみ、政策効果は乏しいため、各自治体の創意工夫をくみ上げ、日本の活力を取り戻し、持続可能な成長へとつなげていこうというのが政策の意図かと思われます。

 総合戦略策定の為のキーワードは3つ。期限付きの達成する目標を数値で設定する。10年後には人口を何人増やす、出生率をどれだけアップするという指標(KPI)を設定する。企業活動には、今期は、売上いくら。新商品を○台販売する等の目標を設定し、そのためにどんな手を打っていくのかというのはフツーのことです。しかし、行政体にあっては、その政策が有効であったのか、後からどう評価するのかとなると意外と曖昧であったのではないでしょうか。せいぜい上からきた予算が適正に処理されたかどうか(適正に処理されないと、県内の某森林組合のようなケースになってしまう)。具体性、成果測定を確実にしていこうという意図を感じます。

 2つ目は、PDCAサイクルを回す。確実に目標を達成するために、計画(Plan)→実行(Do)→点検(Check)→改善(Action)、というサイクルを回していく。これも企業活動のマネジメント手法で一般的なことです。

 3つ目は、担い手は誰か。「産業」、「地方公共団体」、「学生・学校」、「金融機関」、「労働団体」、「言(新聞社・メディア)」という地域のありとあらゆる人。そして、国・県・市長村をつなぐのは国や地方を問わず政治家の仕事なのでしょう。

 策定に関わることは力及ばず限定的という我々住民が多数と思いますが、実行は、住民一丸です。内容についてしっかりと理解を深め、住民として、地元企業として、所属する各種団体と立場で、できること、やるべきことを実行できる1年にしていこうと、各町村の総合戦略を注視する年始です。

 今月も、お元気様です。(2016・1・10)