『穴熊社長の蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)2018年5月号』

 「何となく・・・」という言葉。「好きな色は何ですか?」、「好きな食べ物は何?」。「それは、何故ですか?…」と聞かれれば、「明るい色は元気が出てくるから」、「シンプルなイメージだから」とか。「あの食感が良い」、「酸味に味わいがある」とか、色々理由をつけたりしますね。理由は後づけであって、実は、「何となく好き」というのが、本音ではないでしょうか。人間には、感情や本能があり、何でも理由づけられることばかりではありませんね。

 新年度が始まりました。人口減少時代にあって、民間企業では、どこもかしこも「人手不足」と、国難のレベル。そんな中、「引く手数多」の新規学卒者が社会人となりました。「売り手市場」の時代に溢れんばかりの情報を入念に調べ、自分の将来の夢や希望を抱きつつ、多くの選択肢の中から、ひとつの職業を選んできたことでしょう。その反面、厳密なデータではありませんが、3年以内の離職率は、高卒の40%、大卒の30%とも言われます。「合う、合わない」、「やりたいことや思っていたことと違った」…色々、理由はあって離職したとしても、自分に「ピッタリ!!」や「思った以上!!」なんて事はないのが、世の中。自分に会社や世の中が合わせてくれるのではなく、会社や世の中に自分を合わせていく。そんな自分を自分で育てていく。それは組織の言いなりや自分を殺すというものでは、決してありません。

 人は、ひとりでは生きていけない。こうして毎日暮らす事ができるのは、世の中全体で支えあっているから。それが「仕事」の目的かと思います。ひとりひとりには、支えあう役割があり、それを仕事として責任を果たしていく。その報酬として給料・収入を頂ける。世の中にある仕事はすべて必要であり、貴賎(きせん=尊い、卑しい)のあるものではないはず。だから、必要がなくなったり、必要性が乏しくなったり、必要であってもやり方が悪いと、その仕事は、世の中から消えたり、成り立たなくなって世の中から見捨てられてしまうことに…。

 そうならない為には、いかに必要とされ、役に立つか。更には、喜びや人生や暮らしの豊かさをつくるには、どうしたら良いかを考えて仕事をする。好き嫌いや、やりたいやりたくないはあっても、仕事の原点を忘れない。自分自身を、世の為、人の為になるように育てていく。正しい努力をし続ける。

 わが社も、平成生まれの社員の比率が高まってきました。入社以来半世紀に届く、超ベテラン社員さんもいます。時代背景から、色々な見方や考え方が交錯するところもありますが、「仕事の本質」については、普遍的に大切にしたいと思う新年度です。

今月も、お元気様です。(18・4・8)

株 式 会 社 エ マ 商 会 依 馬 邦 夫