『穴熊社長の蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)2023年9月号』

 「社長さんいますか?」。今夏、島根県・出雲市から、中学2年生の少年が、私を訪ねてきてくれました。とても感激しました。弊社のガス検針業務と共にお客様係として、皆様に可愛がって頂いている「おひさまガ~ル」。8年程前にスタートした頃、ご記憶の方もいらっしゃるかと存じますが、初代おひさまガ~ルである「高橋友美さん」のご子息がその少年です。父方の祖父母が神奈川県の茅ヶ崎にお住まいで、夏休みという事もあり、JRの「青春18きっぷ」を利用し、移動中、途中下車して弊社に立ち寄ってくれました。お母さんの友美さんから、出雲銘菓「出雲・縁結び餅」のお土産と、手書きの手紙を預かり、「使者」として訪ねてくれたのです。当時、まだ、保育園に通い、口数は少ないけれど、興味のある事には、夢中になって取組む姿が印象的な園児でした。中学2年生とは思えない物おじしない大人びた立ち居振る舞いで、立派に成長した姿はとても頼もしく感じました。最近、物騒な事件や事故のある中、中学生の1人旅は心配するところもありますが、無用なジジイの老婆心です。

 彼のお母さんは、山形県の生まれ。東北の芸術大学の大学院に通いそこでご主人と出会いました。結婚後、福島県にマイホームを建て、暮らしていましたが、「東日本大震災」に被災。それをきっかけに、心機一転。ご主人は、上松の技術専門校に通うべく家族で移住。その折、弊社で、「おひさまガ~ル」を募集していたころ、応募してきてくれました。聡明な女性で、マインドも強く、資格も即取得し、今のおひさまガ~ル礎をつくってくれました。定住の希望があり、技術専門校の講師として、ご主人は残る希望もありましたが、学校の都合と合わず、たまたま出雲市で同様の講師の募集があり採用され、再移住を決断し木曽を離れました。年賀状でのつながりはあり、一度は、出雲に行ってみたいと妻と話していました。けれど、木曽からは交通事情を考えるとなかなか遠く、再会するのも難しいかな…と思っていました。

 そんなところに、突然の訪問です。しかも、ご本人ではなく、ご子息です。保育園の頃に過ごした思い出の地であり、彼自身、もう一度、木曽に行ってみたいという思いがあり、今回実現したということです。次の各駅停車の発車時刻まで、わずか2時間余りの滞在でしたが、楽しかった保育園まで行ったり、お母さんのお薦めの駅前の食堂で、私たち夫婦と一緒にランチをしてくれました。私に孫は、まだ(?)いませんが、夏休みに孫が訪ねてくれる喜びはこのようなものかと想像します。いつか、成人となった時、一緒にビールで乾杯ができればと再会を願います。 出会いの数だけ、人生は豊かになる。
 今月も、お元気様です。(23・7・27)