『穴熊社長の蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)2021年8月号』

 イギリスの著名な自然科学者「ダーウィン」が進化論として唱え、名言として残された言葉を聞いた事がおありかと思います。「最も強い者が生き残るのではない。最も賢い者が生き残るのではない。唯一、生き残るのは変化する者である。」企業が存続して生き残る条件としても、しばしば引用されます。

 「確かに、おっしゃる通り」とは思うものの、世の中がどう変化しているかを、さっと認識できるかに始まって、じゃあ、その変化にどう対応していったら良いのかを、すぐ判断できるか。判断したとしても、すぐに動きだせるか。思った通りにできる人もいれば、思うようにいかないのも、人の常。変化に気づいた時には、既に、遅れをとっていることも。変化に適応するにも、時間はかかり、追いついたつもりが、また、更に変化していく。「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」と平家物語の一節からも、平安時代であろうが、令和の時代であろうが、相通じる節理と言えるのでしょう。

 「ゆでガエル現象」と、十数年前に聞いたことがあります。カエルが熱湯に入れば、熱さにたまらず、すぐに飛び出すけれど、ぬるま湯に浸かっていると、熱湯になったのに気が付かず、茹で上がってしまう。笑い話のようにも聞こえますが、わが身に置き換えれば、ぞっとするような例え話でもあります。

 楽観的に捉える事も、時には必要であっても、手をこまねいているだけでは、徒に時間は過ぎていく。焦って、右往左往すれば、余計に事態の悪化を招く事も。難しい課題がたくさんありますね。

 先進国の中でも、遅れ気味だったワクチン接種も、ピッチが上がってきました。勿論、日本で開発されたワクチンではなく、海外製のワクチンですが、感染拡大防止の切り札として接種が進みます。大企業の経営トップ100人に聞いたアンケートによれば(本日、日経新聞掲載)、年明けには、コロナ前の経済状況に戻る予測が支配的ということでした。私たちは、この変化に、どう適応していくのか。

 コロナウィルスの変異株。ウィルスとはいえ、生命体のひとつ。何故、変異するかといえば、生き残るために環境の適応するために変異しているということです。人類は、科学の力を駆使して、生き残りをかける。コロナは、生命体として変異を続ける可能性がある。感染症の歴史からすれば、そうしたウィルスとの戦いに人類は、弛みない努力と、相応の犠牲を払いながら打ち勝ってきた。小紙がお手元に届く頃は。平和の象徴でもある五輪も開催されていると思われます。変化に適応できる人類でありたいものです。今月も、お元気様です。(21・6・29)