『穴熊社長の蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)2021年7月号』

 空き家に関するテーマを小欄に前回掲載したのが、約3年前。当時、最新データとして参考にしていたのが2013年時点のもの。今月、新聞に掲載された同様のデーターは2018年を基準にした記事。総務省が5年毎に調査している統計が基になっているようです。IT(情報技術)の大きな進歩によりビックデータの解析が画期的に変わった時代とはいうものの、この時間的なズレは、日本の技術や制度がかなり遅れてしまっているのかと不安になります。同時に、自分自身もかなり時代から取り残されていると思った方が間違いないと思うことにします。
「空き家」は人口減少に起因する社会的課題のひとつ。放置すれば、防犯、景観への悪影響、地域の活力の喪失につながっていくことが懸念されます。2018年時点で、全国で約849万戸。前回との比較では、この5年間で、3.6%の増加。空き家率では、13.6%ということになります。一口に「空き家」と言っても、3つに分類されます。ひとつは、「賃貸」、「売却用」として、不動産市場に流通している462万戸の空き家。次に、「別荘」のような「二次的住宅」で38万1千戸。長野県の空き家が多いとされる理由のひとつとされます。このいずれでもない「その他の住宅」が348万7千戸。利用目的が不明瞭、市場に流通していない不動産が問題視されるところです。その内の4割が、親が亡くなった後にそのままになっていると言われます。
 全国的には、空き家が増えているとはいうものの、長野県の「空き家率」は改善されているとの事。別荘といった「二次的住宅」を差し引いた空き家率は、14.8%で全国平均(13.0%)を上回ってはいますが。
 全ての市区町村の空き家率が増えているばかりでなく、改善している自治体もあります。勿論、改善の努力をしています。山梨県富士河口湖町では、地元住民らが「富士山暮らし応援隊」を結成し移住の相談にのる。旧産炭地の北海道三笠市では、子育て支援や住宅購入補助が手厚く、転入超に。メガネのフレーム製造全国シェア96%の福井県鯖江町。空き家バンクに登録している物件を事業化の為のリフォームに最大500万円を補助し、地域のにぎわい創出を目指しているそうです。
 先般、木曽地域振興局の地域振興課の職員の方とお話する機会がありました。「木曽の企業の中には、雇用の確保ができれば、まだまだ企業として成長のチャンスがある。但し、地元に居住している人だけでは不足しており、木曽以外の人材確保に動いている。その際、働く人の住む場所の確保が障害になっている。公営・民営アパートの供給も限りがある中、空き家の活用が必要」と仰っておりました。官民・住民一体となって課題に取り組む必要がありますね。
今月も、お元気様です。(21・5・31)