『穴熊社長の蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)2021年6月号』

 NHKのニュースを観ていると、天気予報と共に、ほぼ必ずと言って良いほど、「株式市況」、「為替レート」が報じられます。天気は、気になっても、株価に関心がある方は、どれ位いらっしゃるでしょう。
「日経平均株価」とは、東京証券取引所第一部の株式市場に上場している日本を代表する225社の大企業の平均株価を示した指標です。米国の「ダウ平均」とは、ニューヨーク株式識市場における米国を代表する30社の大企業の株価の平均指標で、米国の経済新聞社である、ウオール・ストリート・ジャーナル社から報じられるものです。こうした証券取引所での平均株価は、経済の実態や経済の将来への動向の指標とされます。価格自体は、需要と供給により決まります。すなわち、買いたい人がたくさんいれば高くなり、売りたい人がたくさんいれば安くなります。この指標が、世界的コロナ禍にあって、高い指標を示しています。
 なかなかコロナの終息も見えず、世の中の多くの人は、様々な制約に縛られ、不安な日々を過ごし、業種によっては深刻な環境に置かれているかと思います。地元の商工業者として、コロナ前でも大変だったのが、コロナ禍にあって、益々切実な状況というのは偽らざる現実でしょう。そんな状況で、株式指標が高騰しているのは、実体経済と金融経済との乖離(かいり)が起きていると言われます。コロナ禍で、日本を含めて世界中が緊急経済対策と称して異次元の財政出動と金融緩和を行って莫大な資金を市場に送りこんだのが株高の大きな理由とされます。世界各国の国内総生産の総和の15~20%の規模とされます。「財政出動」のひとつとして、私たちも、給付金を頂いたかと思います。国から、「タダお金をもらう」なんて有り得ない事でしたね。「金融緩和」とは、中央銀行(日銀・米国連邦銀行等)が、国債(国の借金)を大量に購入したり、政策的金利を下げることによって、市中に資金を供給することです。企業、個人事業主の方は、コロナ禍によって事業資金の借入が、従来と比べて、非常にしやすい経験をした方もおられるでしょう…ただし、借金なので、返済の必要はありますが。
 日本の上場株式の個人株主の72%は高齢者で、若い世代で株を持っている人はほんの一部と言われます。とはいっても、ご近所の高齢者からは、「開田のカブがおいしい」、「王滝のカブが好きだ」という話は聞いても、株で儲けた話は聞きません。格差社会を実感します。
 政府の成長戦略会議のメンバーでもあり、菅首相のブレーンでもあるデービット・アトキンソン氏は、日本経済の停滞は中小企業の生産性悪さに起因すると指摘し、中小企業への風当たりは強くなると思われます。ここで、世界や大企業を話題にするのはお門違いとも言えますが、コロナ終息後の、新しい日本の幸せな姿を、希望的に観測したいと思います。
今月も、お元気様です。(21・4・25)