『穴熊社長の蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)2019年10月号』

 「少子高齢化」。昨年2018年に生まれた子どもの数は、約92万人。いわゆる団塊の世代と言われる昭和22年~24年には、毎年、260万人を超す子どもが誕生していました。その第一次ベビーブーム世代が、「後期高齢者」になるのが、「2025年問題」と言われています。年金、医療保険を始め社会保障の制度は、戦後の復興と共に、人口の多い世代に重点を置きつつ、世の中が経済成長していく事を前提に設計されました。しかしながら、バブルが弾け、平成の時代は経済が停滞し続けた。そして、人口の成長もすることはなかった。日本経済の総需要が伸びず、出産・子育てを誰もが当たり前の幸せのカタチとする前提が崩れた。価値観の変化もあり、また、経済的不安は、結婚・出産をためらう理由のひとつに。「少子高齢化」という現象により、人口ピラミッドモデルが崩壊し、社会保障制度が成り立たない時代となった。
 高齢者世代も、若い頃は齷齪(あくせく)と国を信じて働き、老後の保障を、国は約束してきた。食生活や生活環境、医療が向上し、豊かな暮らし向きとなった分、長寿国家となり、自らが掛けてきた年金だけでは、生活できずに、その分、現役世代から徴収した分を流用する。社会保障費の不足を国の借金で賄う。経済成長時代に全国に網羅された道路や公共施設。老朽化し、危険な状態になり、補修が必要。それも自主財源では賄いきれず利用度を考えれば、割に合わない修繕工事であっても背に腹は代えられず、国の借金は膨張の一途。それを何とかしましょうと、消費税の増税がされることになっています。というのが、私の認識です。
 多くの国民は、増税の負担は嫌だけど、母国の将来を考えればやむを得ないというのが実情。けれど、果たして消費税増税だけで賄えるか?問題解決につながる一助にはなるかと思いますが、根本的解決には至るのは、難しいのではないでしょうか。財政問題、社会保障問題の解決の為には、国の富=付加価値を高める事が必要です。現状の資本主義社会の中では、経済活動以外に方法はありません。つまり、企業活動による付加価値の創造しかありません。しかも、少ない人口で大きな価値を生む。それが、「革新(イノベーション)」を起こし、「生産性」を高める事が求められている事につながります。大手広告代理店の未来ある女性社員さんが過剰労働により自殺に追い込まれて以来、「働き方改革」として残業規制、休暇推奨の国策がとられている面もありますが、日本が豊かな国として、世界の模範となるべく働き方改革・生き方改革こそが、我々国民ひとりひとりに求められている共通の命題であると思います。
今月も、お元気様です。(19・8・26)