『穴熊社長の蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)2019年5月号』

 『令和(れいわ)』。新しい年号が発表されました。4月1日という年度替わりの日の発表ということもあり、日本全国、気持ちも新たに穏やかに、爽やかな気持ちで受け入れたのではないかと思います。木曽に居て、そんな全国の事が分かるのか?と小言も承知ですが、菅官房長官の発表。安倍総理からの談話と記者とのやりとり。列島各地からの国民の声。100歳を越える大正生まれの人。スマホでつぶやく平成生まれも。きっとひとつになれたと思います。
 年号は、特定の世代につけられますが、元号は一世一代。近年は、元号が続いています。過去には、同じ世代であっても悪事を払拭すべく、年号を変えた事も。昭和~平成を国民に寄り添い生きた、今上天皇のご労苦に感謝し、希望をもって新しい時代がやってきます。
今までは、「四書五経」といった中国古典が典拠だったのが、今回は日本の国書「万葉集」。万葉集は、7世紀後半から8世紀にかけて、「大伴家持」により編さんされた古代から奈良時代に詠まれた和歌集。天皇から西国防衛の防人(さきもり)といった庶民兵士が詠んだ4500首から構成。その一節ということです。
 「初春の令月(れいげつ)にして、気淑(よ)く風和(やはら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭は、珮後(はいご)の香(こう)を薫らす」
 安倍総理は、談話発表で、「春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、ひとり一人が明日への希望と共に、それぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたいとの願いを込め、決定した」と語りました。更に、「人々が美しく心を寄せあう中で文化が生まれ育つ」と続けました。
 「令和」と「平和」は、母音が「え・い・あ」であり、日本人の心に響く音に通じるものがあります。平和が続き、日本人が伝統的に大切にしてきた「和の精神」をもちながら、ひとり一人の個性を尊重し、世界をリードする日本人の活躍を夢みます。
 咲く梅は、長かった冬の終わりを告げる。少し肌寒いながらも、光風に春の穏やかさを感じる。どことなく春の香りを運んでくるイメージがありますね。万葉の時代から、新しい「令和」の時代にあっても、日本人の情緒やDNAは通じるものがあるのではと感じます。
元号の発表、惜しむ気持ちもありますが、平成の時代を代表的日本人として武士道に生きた「イチロー」選手の言葉を重ね、日本人に生まれて良かったと思う、平成の終わり、そして令和の始まりです。
 皇居では、満開の過ぎた桜が舞う頃。木曽では、雪の舞う日となりましたが、私には、桜の花びらに見えました。
「さあ、行こう。」令和(れいわ)の時代も、お元気様です。(19・4・1)

 株式会社エマ商会  依馬 邦夫