『穴熊社長の、蛙鳴蝉噪(あめいせんそう) 2016年11月号』

 南木曽町から発信して、以北、旧楢川村であった現在塩尻市のまでの木曽地域が、今春「日本遺産」に認定され、明るいニュースとなりました、文化庁により、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリー(物語)を「日本遺産」として認定するもです。ストーリーを語る上で欠かせない魅力溢れる有形・無形の様々な文化財群を、地域が主体となって総合的に整備・活用し、国内だけでなく海外へ戦略的に発信していくことにより、地域の活性化を図ることを目的としています。全国では38ヶ所。長野県では唯一ということです。

 観光庁では、「日本版DMO」として地元の自治体や多業種の企業と連携しながら観光振興策を打ち出し、地域の活性化させる役割を果たす組織の設立を推進しています。木曽にあっては、木曽町と王滝村が連携して木曽御嶽観光局を立ち上げる予定。上松町でも、観光協会が、今春、一般社団化法人化され、その一翼を担う展開となっています。

 林野庁では、「悠久の森」の取組みとして、長野県西部から岐阜県にまたがる地域~上松町、大桑村、王滝村、中津川をその区域に指定しました。これは世界的にみて、温帯性針葉樹林が自然のまま生育する稀有な地域として、後世に向けて、即ち、「悠久」を目指し、学術研究の課題と併行して「保存と復元」をするといった取組みです。古来から、木曽の森林価値は高く認められ、「檜1本、首1つ」という言葉にも象徴されたように、伐採と厳格な保全を繰り返した歴史もあります。今後、保全のための規制と活用としての協調の道筋が模索される事業となるかと思われます。

 2020年東京五輪には、インバウンド(外国人旅行客)は、現在の倍の4,000万人を目標に、国はしており、認定の政策はそんな背景もあるかと推測されます。日本は、少子高齢化・人口減少により、国内需要は縮小が続き、経済成長を目指していく為には、インバウンドの消費活動を取り込みたいという狙いがあります。

 国の政策の視点からしても、木曽には、世界レベルでも評価される天然資源、歴史・文化・伝統工芸が数多くある中、2027年には、世紀の大事業である東京―名古屋にリニア中央新幹線が開通し、中津川市には車両基地と新駅が開設予定。少なからず当地にも影響があり、今からプラスの効果が得る取組も始まっています。高速鉄道という超近代と街道文化という伝統とを融合した未来のストーリー。

 関東大震災の直後、復興大臣を引受け、後に東京市長を務め、東京の都市計画を立案実行し、後世に名を残す政治家・後藤新平。「金を残して死ぬは下。事業を残して死ぬは中。人を残して死ぬは上」という言葉を残しています。未来をつなぐ主役は、人。あなたとわたし。

今月も、お元気様です。(16・10・4)

株 式 会 社 エ マ 商 会  依 馬  邦 夫