『穴熊社長の、蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)2017年9月号』

 年中行事が巡ってくると、「もう1年経つんだ。早いな~」と、誰しも思い、呟くことがあるかと思いますが、どうでしょう。1日も、あっという間。1週間、1ヶ月、1年・・・本当に早く過ぎてしまう感覚があります。

 こどもの頃の時間はゆっくり流れていた。時代的な背景も影響はしているかと思いますが、小学校の頃の時間は、意外と長く感じたという方も少なくないのでは。ある識者によれば、こどもの頃は経験値が少ないので、見ること聞くことが初めてで、常に新鮮な気持ちで毎日を過ごす。大人になるに連れて経験が増えていくため、見聞きする事の鮮度が下がり、短く感じるという意見もあります。また、日常生活というのは、意外と、毎日定型的に繰り返す事が多く、それに意識が向いていて、どちらかというと、決まった事を受身で、「こなして」いきがち。意外と無意識に時間を使っている。毎日、目的志向をもって時間を割り振り、主体的に過ごすと、時間の短さより、充実感が得られるとも言います。そうは言っても、自分のペースだけでなく、仕事の内容や関わる人たちの都合やペースにも左右され、思うようにはなかなかいきませんね。

 1日は24時間。1年は365日。これは誰しも平等と言っても、人間ならずとも自然や動物の尺度も異なります。平均寿命が80歳の時代と50歳の時代とでは、1年の価値も変わります。ドックイヤーと言って、犬の齢は、人間の7倍のスピードと言われます。家族の一員として犬と暮らしていても、1日の長さには大きな開きがあるかも知れません。ゾウの時間はネズミの時間より18倍ゆっくり進むという学説もあります。

 郷土の誉れ、平成生まれの御嶽海関。歴史ある国技にあってスピード出世ですね。日本の伝統文化であるプロ将棋の世界でも、中学生の藤井4段が、連勝記録を更新し、77歳の加藤一二三名人の引退を見送りました。若い彼らの駆け上がるスピードをみると、同じ1年でも、凡人の私とは明らかに異なる時間を過ごしていると感じざるをえません。何がどう違うかは分かりません。分かる日が来るのかどうかも分りませんが(笑)・・・。

 今日は、広島の原爆の日。あの日から72年が経ちました。テレビの映像から、慰霊碑に刻まれた、「安らかに眠ってください。過ちは繰り返しませぬから」の言葉が映し出されます。隣国のミサイル発射は収束に向かう兆しはありません。72年経つ今でも、核の脅威から逃れられずに人類はいます。被爆者にとってこの72年の長さは如何に。生きたくても生きられなかった犠牲の下に、今の我が国があり、自分達がいます。年の瀬と共に、8月は、日本人にとって、祖先や家族への感謝や絆・・・命の尊さを思い起こす月でもあるかと思います。人生という時間は、まさに命。1回限りの人生。瞬間瞬間を大事にしていこうと改めて思います。

今月も、お元気様です。(17・8・6)

株 式 会 社 エ マ 商 会  依 馬  邦 夫