『穴熊社長の、蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)2017年5月号』

 4月に入り、恒例の交通安全の街頭指導の当番が回ってきました。今年、二十歳になる長女が保育園の未満児の頃から、ずっと続いています。ピカピカの1年生(昭和っぽい言葉ですね)の微笑ましい通学姿に元気をもらって新鮮な気持ちに立ち返る季節。ですが、今年は、遠目に見かけた程度。新入生どころか、小・中・高校生も、疎(まば)ら。会社に戻り、朝礼を終えた後は、ご近所で旅立たれた方の出棺のお見送り。そのお宅も、お子様は町内に不在なご様子なので空き家になるかと。人口減少・少子高齢化の実態を目の当りにした月曜日の朝です。

塞 いだ気持ちで会社に戻ると、当町に越してきたという若者が訪ねてくれました。この春から、上松技術専門校へ入学の為に九州・福岡から来町。彼は、今年の1月に同校を受験に来た折、「どんど焼き」の準備の折に出会いました。翌日のどんど焼きに誘ったら、素直に顔を出してくれました。その後、合格が決まり、アパートのお世話をしたら、手土産を持って挨拶に来てくれたという訳です。今どき(!?)珍しく義理堅い青年です。

 この3月には、同校の卒業生の3名が卒業式直後に、わが社に挨拶に寄ってくれました。昨年の春、商工会主催の同校の新入生歓迎会を催したところ参加。その後、夏まつりの木育のボランティアに参加。秋まつり(弊社のふれあい感謝デー)にも、スタッフ協力をして縁が広がり親しくなった青年たちです。再び「今どき」といっては現代の若者には失礼ですが、人情に富んだ好青年たちです。

 昨春迄、おひさまガールに高橋友美さんという方が3年程、在職していました。福島県で東日本大震災で被災した後、親子3人で上松に越してきました。ご主人が、同校で学び、その後、独立して上松に拠点を構え創作活動をしていました。同校で非常勤講師も勤め、県職員として応募しましたが、正規採用に至りませんでした。「木工」と「教える」ことにやりがいを見つけ、島根県出雲市で「木育」の事業に応募し、採用となり、昨年、移住されました。県職応募の際のレポートテーマが、上松技術専門校卒業後の定住のストーリーだったと聞いています。2人とも大学院卒の高学歴。友美さんの院での研究テーマは、「地域文化資源を有効利用したまちづくり」です。逸材の移住は、今でも残念に思っています。

 先月号の社員コラムに掲載のあった二宮美香さん。約半年間、わが社の事務職の急場をしのいでくれ、この4月から「上松町の町おこし協力隊」に職場を移しています。明るく、元気で、優秀な彼女。わが社に残って欲しい気持ちは山々でしたが、彼女のチャレンジ精神を尊重し、気持ちよく送り出しました。ご主人も上松町内を拠点に木工の創作活動を始めました。夢と希望を持って木曽に生きる二人を、地域の皆様、どうか温かいご支援をよろしくお願いします。

今月も、お元気様です。(17・4・10)

株 式 会 社  エ マ 商 会  依 馬  邦夫