『穴熊社長の、蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)2018年2月号』

「最近の若い人は・・・」という声を聞かないのは、周りに若い人が居ないせいでしょうか。自分が若い頃は、齢を重ねた時に、そんな一括りな事を言う大人にならないように思っていましたが・・・無意識な発言には気をつけねばと思います。更に、今後、齢を重ねた時には、「若い人に任せる」とか、「若い人の時代だから」とか、簡単に言ってしまう老人にはならないように心がけようと思っています。

時代は巡る。ピラミッド遺跡から発掘された古文書にも、「最近の若い者は・・・」の下りがあったと言われます。今から3~4千年前と、人の本質はそうは変わらないものですね。ところが、モノは別。AI(人口知能)など、技術の進歩によって、向こう10年は、更に、世の中が大きく変わっている可能性があります。今でも、「スマホが使いこなせない・・・」と言っているのが、スマホが、ガラクタ系(?)となって廃れていたり、全く異なる物に進化しているかもしれません。

変化のスピード、情報のつながりや伝わる速度、人の活動、移動する速さや範囲の次元が時代によって異なる。こどもから大人になっていく成熟度合いは、世代が違うんだから、違って当たり前。加えて生まれ育った時代も異なった人間同士が同じ時代に生きようと思えば、価値観、モノの見方や考え方に齟齬があっても当たり前。「世代間」、「時代間」の違いが混ざり合って大きく変わっていく時代。その中で、共に支えあって、よりよい未来を信じ、創っていくことが大切なのは変わらない。

親の世代。食べるのにも事欠く経験のある昭和前半。それでも、戦後の目覚しい経済成長。世の中が、どんどん豊かになり、希望に溢れ、世の中の流れに乗って、真面目に働けば、確実に豊かさを実感できた。子供の世代、生まれた時から、お腹のすく感覚の無い人もいる飽食時代。けれど、バブル経済が破綻後は、ずっと景気の停滞した平成。経済成長、国民総生産、国民平均所得・・・が、ずっと上がらない。生まれた時から、ずっと不景気。未曾有の大災害も続く。未来に希望を持ちにくい時代に育ちながら、次の世代の主役となっていく。

私。高度経済成長期に、生まれる。豊かな時代。人口もそこそこあるので、競争は知っている。バブルの高揚感も知っていても、恩恵の記憶がない。根拠のない希望はあっても、景気が戻ったり、年金をもらうことは、とうに諦めている。

最近の若い人やこどもの世代。今のままでは気の毒に思う。申し訳ないとすら思います。大人として、何とかせねばと思う。卒団してから、数年経つ消防団の出初式の翌日に、改めてそう思います。平成も間もなく末。そして、未来へ。

今月も、お元気様です。(18・1・8)

株 式 会 社 エ マ 商 会 依 馬 邦 夫