『穴熊社長の蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)2020年6月号』

 昨年の5月の連休は、改元「令和」となり、お祝いムードの中、10連休。弊社も、ライフラインをお預かりする仕事ではあるものの、当番制を敷きながらのお休みを頂戴しました。1年経って、世界中を新型ウィルスが席巻しているとは誰もが想像すら出来なかったことです。編集の都合上、小紙が皆様のお手元に届く頃は、どのような事態になっているかすらも予想できません。
 現実の対応方法については、絶対的なものはないし、新型のウィルスでもあり、人類が経験した事がなく、正しい情報や知識も不足しています。過去には、世界的流行した疫病もあり、暗黒の歴史も刻まれていますが、現代のように国際間の往来が高く、その関係性が強くなり、複雑かつ多様化している中での今回の感染拡大は、未曾有の脅威が続きます。特効薬や予防法が確立していない事は、命にかかわる危険であり、人々の不安や恐怖を煽り、心まで病気になりそうです。
 大恐慌の序章とも指摘され、経済的な不安も高いだけでなく、積み重ねてきた文化、政治、思想、社会構造も揺らぎかねない。学校、教育の分野でも大きな懸念が続きます。昭和38年から続いた高校総体の中止が決定されました。また、手塩にかけた農業品も、出荷をせずに廃棄をすることもあると聞きます。時間と共に必ず成長・発達する機会も失われる事は、想像する以上に辛い事かと思います。
自粛規制についても、「もっと早く」、「もっと厳しく」、「規制するなら補償を」などと様々声も、ごもっともという見方もありますが、問題が解決しない現実(今)には、批判的な意見はどうしても出てきます。何が正しいかは、終息した時にしか振り返る事はできないのが世の常です。過去には戻れないので、今、これから何をすべきか。感染を拡大させない原理・原則にしたがって、その中で、何が自分にでき、何をするのかが重要ですね。規制してもらった方がやりやすいとか、責めるべきでない人に感情的になって鬱憤(うっぷん)を晴らすような言動をしてみたり。他人に矢印を向ける事より、「自分とみんなのためが、イコールになるには」という基準を大事したらと思います。
 感染者の方が思う事は、「まさか、自分がなるとは思わなった」ではないでしょうか。その時はきっと、「ああすれば良かった」、「行かなきゃ良かった」、「そう思ったんだけどな」と振り返るのではないでしょうか。終息して、平穏な日々が戻って来た時、きっと、当たり前の日常への感謝が、今以上に深まることでしょう。今の我慢や努力が報われ思い出の一コマになるには、「後悔しない行動」が大切かと思います。
 ひとりひとりがそんな姿勢で、共に協力し、終息した暁には、世界から争い事のない、自然環境と共生できる社会につながる。そう人類の信頼が深く築かれる事を願います。
 今月も、絶対、お元気様です。(20・4・29)