『穴熊社長の蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)2020年5月号』

 「令和になって初めて…」という言葉も鮮度を感じた年明け以降、米国・イランの対立や米中経済摩擦と世界の平和や経済に大きな影響の与える出来事が続きました。TOKYO2020のオリンピックイヤーから一変。今や、世界中、新型コロナウィルスとの戦いの真っ只中に、桜の季節を迎えました。新型コロナは、中国・武漢発、イラン、米国と感染拡大が続く現況からすると、皮肉な成り行きを感じるのは不謹慎なことでしょうか。
 国内でも、終息の兆しは見えず、爆発的感染に戦々恐々。どのタイミングで、「緊急事態宣言」が発令されるか。発令後の、世の中はどうなっているか。総理を始め政府首脳、各都道府県、市町村といった自治体は、国民の生命を守る為、情報収集や検討、対策を重ねていることでしょう。つい我々も、国や行政に頼りがちな意識もありますが、国民ひとりひとりが、国全体の事を考え、自らのできることを実行したり、感染拡大の為に、要請されなくとも自覚をした行動は大切であると思います。
 他国では医療崩壊も起きており、国内にあっても医療従事者は、見通しの立たないまま忙殺。また、将来起こり得る爆発的感染への準備を、昼夜を問わず努力されていることでしょう。医療マスクすら不足する中、テレワークといった概念からかけ離れた医療現場を始め、日々の仕事を心休まる事無く働く人々にも感謝したいと思います。
 学校の一斉休校、卒・入学式の中止。歴史を振り返っても、稀有な事かと思います。一生に一度の節目の機会の喪失。学びの時間の削減。たまたまこの巡り合わせで影響を受けるこどもたち。昨年の大学入試改革の突然の延期もあり、受験制度に振り回され、重ねて、今回。過去にも、ゆとり教育や就職氷河期など、自分たちではコントロールできない時代背景により、多少なりともそうした世代は、影響を受け、社会的にも課題を残すところがあるようにも感じます。就職説明会中止、内定取消。起きた事を過去の出来事にするだけでなく、その後のフォローも必要に思います。
 経済の激変に伴い、失業、倒産、廃業、休業と、基本生活にすら支障の出てきている人が増加しています。今日、明日、困っている人の救済は国としては急務でしょう。また、観光、飲食、小売り、サービス業…など大打撃を受けている業種の救済措置や経済全体を支える数々の政策も必要であり、現に、緊急予算編成と対策が講じられています。優先順位の高い事ではあると思いますが、最終的に財源となれば税金。ただでさえ、国の累積赤字が嵩む中、緊急事態とはいえ、更に大きく将来の借金は増大します。
 目の前の、感染拡大防止、終息への対応と共に、先を見通した最善策、そして終息後の課題の整理。全てやらねば越えていけない事ばかり。従来の、発想や思考では越えられない国難ならば、私たち一人一人がピンチをチャンスに変える覚悟をもって乗り越えるしかありませんね。
 今月も、お元気様です。(20・4・1)