『穴熊社長の、蛙鳴蝉噪(あめいせんそう) 2013年 5月号』

『正直勤勉』。我が母校の小学校の体育館の額に刻まれている言葉です。私が小学生の頃は、講堂に掲げられていたものだと思います。生きていく上で、仕事をしていく上で、小さな会社ながら経営者として腑に落ちる、とても大切なことだと、目にする度に思います。子供の頃、先生からその意味を教えて戴いたとは思いますが、改めてその語源を調べてみると日本の歴史の深さを感じました。
古くは、日本最古の書物の「古事記」にも大切な価値観としての記述があるようです。また、今から300年程前の江戸時代中期。思想家「石田梅岩」の書物にも記載があり、日本人の伝統的仕事観と言えそうです。日本企業の強みとして米国の何人かの高名な経営学者の指摘もあります。

 梅岩の思想をまとめた問答集にこうあります。「商人の道を知らない者は、私欲に走って、ついには家までも亡ぼしてしまう。しかし、商人の道を知れば、私欲の心を離れ、仁の心を持ち、商人道に合った仕事をして繁盛する。それが学問の徳というものだ」。士農工商と格付けされ、「商売とは単なる金儲け」とされた時代に社会的存在価値を喝破した革命的主張と評されます。
 儲けがなければ、事業は立ち行かないけれど、儲けが目的になってはならない。社会やお客様の役に立ち、喜ばれる商品やサービスを提供することで、結果、その対価としての報酬を頂戴する。それをもって、ここに働く人やその家族の生活を保障すべく儲けの分配をする。儲けの中から納税をしたり、もっと役に立つような将来の商品開発、人材開発に投資をしていく。私欲を抑える人間性の向上の為の学びや、更に役に立つための知恵を身につけるために、しっかり勉強をし続ける。
先人の伝える「正直勤勉」の要諦を、私はこう解釈しました。みなさんは、いかがお考えになりますか。 

小学校で学んだことは、「読み書き、算盤(計算)、正直勤勉」。ん~、ちゃんとできてるかなあ。今朝、PTAの交通安全指導で街頭に立ちました。子供の少なさを目の当たりにした朝でしたが、今月も、お元気様です。 
<2013/4/9>

株 式 会 社 エ マ 商 会  依 馬  邦 夫