『穴熊社長の、蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)2017年1月号』

 新年号となりました。旧年中は、大変お世話になりました。ありがとうございます。本年もよろしくお引き立ての程お願いします。平成28年は、世界的にみて、歴史の教科書にも残るような大きな出来事が続いたかと思います。原稿作成中の今しがた、国民投票で反対派が勝利してイタリア首相が辞任を表明したとニュースが入ってきました。11月には、米国大統領にトランプ氏が選出され、7月には英国がEUを離脱し、サッチャー以来2人目の女性首相が誕生しました。

 日本では、舛添前都知事が袋叩きになって辞任したのが6月。リオ・五輪で日本のメダルラッシュがあったのが8月。今は、「支持率92%」の女性都知事、東京オリンピックに向けての話題ばかり。五輪を意識し、観光立国を目指して、カジノ法案が国会で審議されています。ほんの数ヶ月で、世の中の空気感が、こうも変わるかと皆が思う、年の瀬です。

 とは言うものの、冒頭のトランプ現象を標榜する、世界的な既成政治の崩壊と比べれば、我が日本にあっては、安定した長期政権下が続いています。隣国の支持率5%のパク政権も時間の問題。トランプ氏就任後の、大国の政策の影響や、暮れに向けてのロシア・プーチン大統領との北方領土をテーマにした会談は、少なからず、日本にも大きな影響が予想されます。他の先進国と比較すれば、日本はまだ穏やかな世相です。私が鈍感なのか地方の山間地域・木曽の中にあっては、良くも悪くも、変化を感じることは少ないかと。反面、立場のせいか、性格のせいか、変わらないことに対して危機感を私は感じます。穏やかに暮らすには、変わらないことが良いこともあるかもしれませんね。

 世界の主流である自由資本主義の歪みが、格差社会を生み、その歪みが世界の先進各国で紛糾している状況かと思います。「格差社会」から、「分断社会」へと、米国の大統領選挙後の姿から、そんな懸念がされるようにもなりました。ひとつ経済指標である株価や為替については、目下のところ日本にあってはメリットのある動向がみてとれますが、TPPが頓挫し、保護主義貿易が優先されると、その歪みも大きなマイナス要因となり、早晩悪い影響が日本に波及してくるという予測が支配的です。

 ポピュリズム。日本語では、「大衆迎合主義」と言われます。一般大衆の利益・権利、願望、不安・恐れを利用して、現状の体制について対決しようとする政治思想(姿勢)を指します。

 分断社会にあって、一般市民の鬱憤(うっぷん)を利用し、それに大衆が乗り、良い方向へと向かえば良いかと思いますが、自らの権利のみ、自分達にとって都合の良い主張だけが優先される秩序のない社会は危険を感じます。特に、武力が絡んでくると。波乱含みの年明けとも思いますが、偏った情報や考えに惑わされたり、流されたり、おもしろおかしく盛り上がれば良いで済ませない。元来日本人が大切にしていた価値観を忘れず、希望を持って、良い1年となる事を願います。きっと、日本は神ってる!?

今月も、お元気様です。(16・12・5)

株 式 会 社 エ マ 商 会  依 馬  邦 夫