「昭和が終わった」。この6月に、ミスタープロ野球と名高い「長嶋 茂雄」氏が、享年89歳の人生の幕を閉じました。心より、ご冥福をお祈り申し上げます。日本国民の殆どが、名前を聞けばプロ野球選手、監督という事は知っている。世代によって、現役時代のプレイが脳裏に焼き付いている方から、晩年の傷病による後遺症と戦いながらメディアに登場する姿に勇気づけられた方。各人各様ではありますが、唯一無二のヒーロといえるでしょう。長嶋さんの逝去にあたり、昭和の終焉を重ね合わせる気持ちは共感を呼びます。まあ、昭和という時代は、平成の前に、とうに終わっている。今は令和の時代なので、昭和の存在感が消えていくということでしょうか。
今年は昭和で数えれば、100年の歳。そんな節目もあるのかも知れません。長嶋さんのご長男とは、小職は学年が同じ(但、一茂氏は早生)。逝去は惜しまれるものの、子息が還暦を迎える年まで存命と思えば、長寿を全うされたといっても良いでしょう。日本人の平均寿命。昭和40年時、男67.74歳、女74.66歳。昭和60年時、男74.95歳、女80.48歳。昭和の終り頃から、平均寿命が80歳を超えるようになりました。昭和80年時、男78.64歳、女85.59歳。今年、昭和100年のデータはまだ公表されていませんが、昨年が、男81.09歳、女87.14歳となっています。
伊勢神宮の式年遷宮に伴う、「御杣始祭」、「御神木祭」が無事に終わりました。関係者をはじめ、多くの皆様のご尽力に敬意と感謝を表します。20年に1度ということで、前出の平均寿命の基準年は、その「御神木祭」の歳です。奉伐された御山のある上松町の同様の基準年の人口。昭和40年10,083人、昭和60年7,370人、昭和80年5,770人、昭和100年(6月時)3,867人。20年に1度の周期の中、伝統・文化の継承は、人口減少時代にあって多くの課題もあります。
木曽は、江戸時代には尾張藩として「木曽材木奉行所」が設置され、高品質な木曽檜が多く育成された場所であった事が、伊勢神宮への御用材として用いられた理由のひとつ。そう言って差し支えないかと思われます。当日、「御杣始祭」の模様が、生中継されました。「杣人」の勇姿に、圧巻された方も多いと思います。その姿に憧れる若者もあるでしょう。
木曽地域の深山のふんだんな資源により、地元の基幹産業として位置づけられた事はあっても、令和の今、そう断言する事は難しいかと思います。次の20年後を考えると、今一度、「木曽の森林経営」の構築が求められます。令和の米騒動の中、農業経営の再構築が求められている事にも通じる、日本の課題かと思います。
今月も、お元気様です。(25・6・9)
『穴熊社長の蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)2025年7月号』
2025-07-01