2020年の年末は、感染拡大はとどまる様子はなく、変異種のコロナが国内でも確認。気づいた時は、既に、後手。二の舞を懸念します。海外でのワクチンの接種が進む中、新しい年も、コロナとの戦いは続きます。コロナの影響を受けた、予測数値として、令和3年の出生数は80万人割れの記事が日経新聞(12/25)に掲載されました。
2020年の5月に、政府から発表された「少子化社会対策大綱」にある、「86万ショック」の記述。2019年の出生数(推計)は、過去最少を記録。改元の年で、「令和婚」の増加により、婚姻数や出生数も増加に転じるかと期待されたものの、結局、共に、前年割れ。減少は、予想を上回るペース。当地にあっても例外ではありません。
人口の減少は、活力の衰退。社会を誰が支える?誰もが老化、病気は避ける事はできず、その社会保障は誰が支える?益々増える莫大な国の借金は誰が返済する?消費の市場は縮小。働き手の確保が困難。
前政権にあって、少子化対策として出産・子育てがしやすい環境づくりを進め、女性が職場に出る数も増え、世帯当たりの収入も国全体として増えました。政策の一定の効果もあったものの、コロナ禍により、非正規の就業者、女性の失業が増え、その成果もしぼんでしまいました。
価値観の変化・多様化により結婚に対する意識の変化。経済的不安を理由にした結婚・出産・育児へのためらい。コロナ禍にあって、ひとり親の益々の困窮や望まない妊娠の社会的課題の報道を聞くと問題の根深さを感じます。結婚や家庭生活に希望を持ち、幸せな暮らしのモデルがイメージできる世の中。結婚・出産・育児のしやすい環境づくり。国頼みでない国民の意識や行動も求められます。
短期的には、人口減少に歯止めをかけることは困難であっても、限られた人口でやりくりをしていく為の一つの手段として掲げられているのが、DX(デジタル・トランスフォーメーション)。ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる。ITとは、情報技術(インフォーメーション・テクノロジー)を指し、情報の取得、加工、保存、伝送する為の科学技術を意味します。コンピュータやインターネットといった技術を総称していると解釈してよいかと思います。そして、コロナ禍にあっては、その促進が加速する。「よく分からない」、「ついていけない」と、ついつい口から出てきますが、やらないと未来はないとまでいう人もいます。「親の時代より豊かになる保障のない時代」とは言うものの、「遠くをはかる者は冨み 近くをはかるものは貧す」という伝統的日本人の二宮尊徳翁の言葉も信じたいと思います。
今月も、お元気様です。(20・12・27)
「遠くをはかる者は富み 近くをはかる者は貧す」 二宮尊徳に学ぶ経営計画
二宮尊徳は、江戸時代の思想家であり、農村指導者あるいは「経営コンサルタント」として、疲弊した多くの農村を再興した。
二宮尊徳は、「遠い将来を考えて行動する人は、裕福になり、短期的に考える人は、貧しくなる」ということを人々に教えた。
「遠くをはかる者は富み
近くをはかる者は貧す
それ遠くをはかる者は百年のために杉苗を植う
まして春まきて秋実る物においてをや
ゆえに富有なり
近くをはかる者は春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず
唯眼前の利に迷うてまかずして取り
植えずして刈り取る事のみ目につく
故に貧窮す」
「将来を考える人は、百年のために杉の苗を植える。
もちろん、秋実るものを考えて春、種をまく。
だから豊かになるのだ。
しかし、近くのことばかり考える人は、春植えて秋に実るなど遅すぎる。
目の前の利益に迷って、何も植えようとしないで刈り取るばかりだ。
だから貧しくなるのだ・・・」
企業の経営計画も、将来の「杉」となる人材育成を基本とする。
人材の「材」とは、育つのに数十年かかる大木を意味している。
財務的には、単年度の売上や利益のみを追求するのではなく、数年後に達成すべき「バランスシート(無借金経営など)」を基本として、毎年毎年の努力の積み重ねで実現していく。
二宮尊徳が5歳のとき、近くを流れる酒匂(さかわ)川の氾濫で、家の田畑はすべて流された。
尊徳は、貧しい子供時代に、子守の駄賃の中から、松の苗を譲ってもらい、川の堤防に植えていった。
今でも、酒匂川の堤防には、尊徳ゆかりの大きな松並木が続いている・・・。