『穴熊社長の、蛙鳴蝉噪(あめいせんそう) 2013年7月号』

小学校4年生の息子が母親に、「お母さんは、円高と円安とどっちがいいの?」と聞いていました。いつの間にか、為替相場のニュースは当たり前になり、急激な円安の影響を報じるニュースが毎日流れます。1個1ドル=80円のおにぎりをアメリカ人に売っていたのが100円で売れるようになった。同じ取引でも、手元に入るお金が20円増えました。海外に売ってた人は、儲けが多くなりますね。1個1ドル=80円で、アメリカからパンを買っていたのが、同じパンでも100円を払わなくては買えなくなる。さあ、どっちが良いでしょうね。
 為替レーはどう決まるか。いろんな要素はありますが、原則ルールは需要と供給のバランスと理解して良いかと。円がたくさん求められ買われれば円が高くなる。反対にドルが求められ買われれば円が安くなる。求められる具体的な理由はそれぞれあるでしょうが、基本はそういうことかと。 当社で取扱うガスや灯油は、海外からの輸入に頼っており、為替の影響を受けます。生活に直結するエネルギーであるが故に、お客様のご負担を抑えるべく、ネットワークを駆使して安く仕入れる努力や自社で吸収する努力はしています。木曽という山間地にある小さな会社ですが、ヤマダ電気のグループ会社と物流ネットワークを結んだり、木曽と都市部との生活格差をなくすべく努力をご理解戴くと有り難く存じます。
 昭和の時代にパナソニックの創業者松下幸之助が「水道哲学」を唱えました。水道の水を飲ませてほしいと言われてもお金を徴収する人が少ないのは、豊富に安価に水が手に入るから。だから、産業人の使命は、良い商品を安価に、社会に隈なく供給することだと述べました。確かに家電製品は安くなり過剰なまでの供給がされていますが、同社を始め、価格の下落に伴い業績が悪化し、人員削減、賃金カット等のリストラが続きます。誰もが、安い方が良いに決まっているという時代に、それを求めすぎるにあまり、自らを窮地に落とし込みかねない時代。どんな基準を持って生きるのか、何が幸せをつくるのでしょうか。みなさんは…。
今月も、お元気様です。
(13・6・6)
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