『穴熊社長の、蛙鳴蝉噪(あめいせんそう) 2013年6月号』

「多数決」。民主主義の社会では物事の決め方のルールの基本となっています。言うまでもなく選挙に始まり、国の政策、予算、法案…多数決で決まります。資本主義社会といわれる中でも、同じような事があります。多くの人が購入するお店が良い。たくさんの人が良いと言う商品が良い。たくさん支持される事を是とする考え方になりますね。
日本人の民族性を言い表す例として、「赤信号。みんなで渡れば怖くない。」と言った言葉もあります。どこかしら、全体の流れに従うというか流される傾向にあるのでしょうか。それが、良い意味では平和や秩序が保たれる社会をつくっている面もあるかと。何が正解か分からない混沌とした時代。必ずしも「数が多い」ことが正しいと思うのは、少し考えてみる必要もあるのではと思います。
 「少ない方が、メリットを得られる」というルールもあります。宝くじや公営ギャンブル等は、唯一自分だけが持っている、なるべく少ない人が選んだ競争馬が勝った…といった場合には、選んだ人が少ない方が、得られるものが多いという仕組みになっています。
 「多い」、「少ない」どっちが正しいということではなく、ルールに従って決めて、その結果に従う。しかしながら、その物事の本質や正否、是非を本当に問うているのかを見極める事も必要と思います。その為には、その事柄に対して、しっかりと理解を深めたり、対話を深めたりといった、手間はかかるけどそれを惜しまない事。また、理念、規範の構築。見極めるための「慧眼」を磨いたり、本質を深める思考力を養う努力が、ひとりひとりに求めらる時代かとも思います。みなさんは、いかがお考えになりますか。
 アベノミックスと、株価が上昇し、景気の明るい兆しが見えてきたと毎日のようにメディアで報道されますが、木曽に暮らすとピンとこない事の方が多いですね。それでも、憲法の改正は「多数決」で決まります。後から来る人たちのために、自分の歩いた道はキレイにしておきたいものですね。
今月も、お元気様です。
(13・5・3)