『穴熊社長の、蛙鳴蝉噪(あめいせんそう) 2013年3月号』

アルジェリアで痛ましい事件が起きました。「日揮」という、石油資源プラントの日本人駐在員の尊い人命が失われました。同じ日本人というだけでなく、石油資源というエネルギーを取り扱う会社に身を置く者として、深く哀悼の誠を捧げます。資源の乏しい日本にあっては、資源国に頼らざるを得ません。その国々は、必ずしも治安が良かったり、開発が進んでいる国ばかりではありません。宗教的な背景によって、未だ争いの絶えぬ地域も少なくありません。石油資源はあっても政情がいつまでたっても、安定せず、一部の権利者のみが経済的な恩恵を欲しいままにしている、信じられないような現実もあるようにも感じます。それでも、人類の暮らしに必要なエネルギーの資源国での開発に、危険を覚悟で駐在し、業務に従事した方々の使命感に、日本人としての誇り高さを思います。犠牲となった方々に関係している人ばかりではないと思いますが、日揮本社ビルへのたくさんの弔問客の映像を目にすると、この国の人々のぬくもりも感じることができました。今、世界的には「シェールガス革命」時代に突入し、その資源開発技術を有する「日揮」とうい会社への期待は多大なものがあります。資源の無い日本と言われてはきましたが、技術革新により、日本近海の海洋には、たくさんのエネルギーの眠る可能性も取り沙汰されています。単に、新たなエネルギーの発見という視点だけでなく、中東やアフリカの政情安定や争いの根絶が、世界平和につながっていくことも期待したいものです。
 アルジェリア事件と同時期に、日本の財政抑制の為に、退職金の減額による早期退職希望の教師のニュースが報道されていました。法治国家にあって、ルールに従って個人の権利を主張するわけなので、事の是非を小欄で問うつもりはありませんが、明らかに職業意識は異なりますね。
続いて、教師の「体罰」の事件も大きな社会問題に発展しました。個人的には親からは体罰を受けた記憶も子供に対して体罰による躾をした記憶もありません。先生から受けた記憶はありますが、それについては感謝しています。何故なら、大切な事を教えていただいたからです。チームプレーのスポーツの中での自分の怠慢プレーの指摘、集合時刻の厳守、宿題の未提出。宿題を放棄して一番損害を被るのは、自分自身ですね。更に、真面目にやってきた友達の時間を無駄にして迷惑もかけますね。大人になっても、社会生活に通じる大切なルールです。
卒業シーズンになります。「仰げば尊し。わが師の恩。」教え導いて戴いた恩を、少しでも社会に役立つ仕事に変えていかねばと思います。
今月も、お元気様です。
株 式 会 社  エ  マ  商  会      依 馬  邦 夫