【穴熊社長の、蛙鳴蝉噪(あめいせんそう) 2016年9月号】

 明日、リオデジャネイロオリンピックが開幕する日に原稿を書いています。ブラジル国内では、開幕直前にあっても賛否両論あったり、準備も間に合うかと心配されていましたが、開幕にこぎつけた様子です。目覚しい発展を遂げた新興国の国名の頭文字をとって名づけられた、BRICs(ブリックス=ブラジル、ロシア、インド、中国)のひとつに数えられた国々でのオリンピックが続きました。戦後20年で、日本でも東京オリンピックが開催され、その後、先進国として成長した事を思えば、豊かな国づくり、平和な国づくりの大きなきっかけに、オリンピックがなることを願いたいと思います。

 4年後には、2回目の東京オリンピックが開催されます。言いだしっぺの都知事から、既に3人も交代したり、メイン会場の設計変更、エンブレムの選定変更と、ドタバタしてますが、成熟した(?)先進国の首都でのオリンピック。世界が希望と夢で溢れる時代を創造するようなオリンピックとなることを願っています。

 新しい都知事は初めての女性。ドイツのメルケル首相、EU離脱の英国のメイ新首相。秋には、米国でも初めての女性大統領の誕生の可能性もあります。21世紀は、女性の時代とも言われ、間違いなく時代が変化してきていますね。

 その一方で、グローバル化と言われ、地球がひとつの単位となる、ボーダレス化と言われ国境や境界が無くなってきた時代と言われていたはずが、どこか「内向き」な流れの変化も感じます。欧州諸国のリーダーであった英国のEU離脱。米国大統領候補となったトランプ氏の数々の発言と米国民の反応。イスラム国のいつ終わるとも知れないテロ。隣の国々のミサイル発射や海域の越境。国内でも、若者の自分勝手な思い込みによる凶悪な殺傷事件が続く。どこか、自己中心的な流れを感じます。 世界各国の文化や民族の違いは、それぞれ尊重しあうことはあっても、人命や地球環境の保全を蔑ろにすることはあってはなりません。

 「摩擦は進歩の母」とも言われ、日常の生活や各国の政治・経済の摩擦も、上手に乗り切れば、発展のチャンスにもなり得ます。しかし、武力による争いだけは、何としても回避したいところです。仲良しクラブではない、「和をもって、尊しとなす」、「和して同ぜず」という日本の言葉があるように、そうした価値観を尊重することは変わらない日本であることを願いたいと思います。

 2千年に及ぶ日本の天皇の系譜。平成天皇が、生前退位するとし、公の場で、それについてのお気持ちを明々後日、発表すると報道がありました。日本の不幸な歴史に解釈される場面もありましょうが、平成の時代にあっての皇室は、日本人の誇りを自覚できる存在だと思います。きっとそのお言葉の中に、世界の平和や人類全体の幸せの希望が見出されるのではないかと期待しています。

今月も、お元気様です。(16・8・5)

株 式 会 社 エ マ 商 会  依 馬  邦 夫