『穴熊社長の、蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)2017年3月号』

 新聞を購読している人が減っています。ある統計によれば、1世帯当たり新聞を購読して部数が20年前(‘97年)には、「1.18部」だったのが、昨年(‘16年)には、「0.78部」ということです。実際にわが社でも、20~40代の社員さんは新聞の定期購読をしていません。インターネットが普及したり情報入手の環境が劇的に変わっているので、時代の流れという解釈はありましょう。地域の行政上の世帯数と地元の新聞屋さんに折込を依頼した場合のチラシの数を、ざっと比較しただけでも、新聞購読率は、75~80%と、個人的に推計します。複数の新聞購読もあると考えれば全国統計とこの推計は合致するかと思います。

 連日メディアに登場するアメリカ大統領トランプ氏。日本の安倍首相のコメントは、テレビや新聞の取材が元になるのが主流ですが、同大統領は、「ツイッター」というインターネットを利用したコミュニケーションツールでのコメントが多く見受けられます。「ツイッター」は、大統領でなくても、インターネットが使える人であれば「誰でも」、「今から」世界に発信できます。元々、米国の主流な大手メディアと敵対し、それを巧妙に選挙にも利用して勝利をおさめたとも言われ、取材の質問にも答えず、答えないばかりか、「嘘つき呼ばり」までしているのは、ご存知の通りです。日本でも、おもしろおかしく騒ぎ立てた方がマスコミも一般ウケが良く、反面そんな風潮に眉をひそめたくなる事もありますね。ニュースは、楽しい、ハッピーなものより、事故やトラブル、不安や恐怖を煽るような性質のあるものの方がニュースになりやすいところがあります。その量もマイナスイメージのもののが多く、毎日、それを耳にしていると人の気持ちや世の中の雰囲気も悪くなり、情報過多の時代には、人の心のメンテナンスを必要かと思います。

 インターネットの情報は、テレビや新聞と異なり、発信する側、受信する側も手間や経費も格段にお手軽です。事実と異なったり、偽り事であっても、もっともらしい表現や写真などを上手に使って、人を騙すことも難しくない。紙媒体の印刷物は出回ってしまえば、回収するのも困難。後々まで残ります。しかし、インターネットの情報は簡単な操作で消せてしまいます。

 特殊詐欺も沈静化することもなく、次から次へと新手の詐欺が横行する世の中。何でも疑ってかからなけばならない社会は、疲れるし、気持ちも殺伐とした気持ちにになり幸福感も希薄になります。嫌なニュースや耳を疑うニュースも次から次へと入ってくる。

 自分たちの力ですぐに解決できる問題ではないとすれば、「自分の身は自分で守る」事が基本となります。情報を判断する為に、人としての正しさを持った健全な価値観を磨く努力、信念の確立、流されない自律心を持つといった、人が人たる尊厳をもった生き方や教育がますます必要な、AI(人口知能)の時代に入ったということでしょう。

今月も、お元気様です。(17・2・8)