「LPガス高騰化対策・第3弾」。この6月のLPガス料金について、公共施設等の一部を除き、一律¥1,000円の値引がされます。この2年余りの間に、LPガス料金にあっても、国・県の補助金による政策が講じられてきました。円安・輸入価格の高騰により小売価格への影響を抑える物価高対策のひとつです。家計への負担が緩和されるのは間違いがありませんが、財源は税金であり、本質的な解決になるかと言えば疑問です。
灯油については、元売り(例:エネオス、出光等)に対し補助金が支給され、その分を減額し、卸業者、小売業者へと価格を抑えて供給されています。その仕入れを元に、小売業者である我々のような会社がお客様のところへお届けしています。よって、補助がなかった場合、従来20円~30円以上、更に、灯油の小売価格は高くなっていたという事です。本原稿作成時にあっては、補助金は一旦終了の状態ですが、その分輸入価格の低下、円高により、変動のない状態にみえます。また、5月下旬以降、補助金再開の予定との事。電力、都市ガスについても、国からの補助の再開が公表されています。これも消費者としての負担は軽減されますが、財源は税金。現状の日本の財政を考えれば、将来への借金となり、先送りといって差し支えないでしょう。
「個人の借金と国の借金は異なるから心配ない」と主張する政治家もいらっしゃいますが、「国の借金は誰が返済するのでしょうか?」。元・日銀総裁・白川方明氏の講演を直接お聞きした折には、最近の政治家の主張に対して、否定的な見解でした。また、元・財務事務次官の矢野康治氏をはじめ、元財務官僚OBの中にも財務規律の乱れに対し、国の財政破綻を危惧する声も少なくないように思います。
国の政策に合わせる事は、日本国民として、又零細企業ながら日本の企業としては当然すべきと思いますが、ここ数年、税金を財源とした補助金の数はおびただしく、「バラマキ」の批判も拭えないと感じます。補助金事業の目的には賛同しても、果たしてこの進め方は日本の未来において、本当に必要な事かと不安に思う事もあります。また、その手続きや条件も煩雑なものも多く、業者としては負担の重さも感じます。
消費減税の声が聞こえます。選挙で民意を問う流れも予想されます。日本の未来の為にと国民が賛同したはずの「消費税10%」も、目の前の物価高対策優先という大義名分による方針転換にみえます。税金と補助金。いずれにしても「お金の力」で国民の行動をコントロールしょうとする近年の政策はいかがなものかと疑問に思う「蛙鳴蝉噪」です。「朝三暮四」には気をつけて。
今月も、お元気様です。(25・4・28)