『穴熊社長の、蛙鳴蝉噪(あめいせんそう) 8月号』

 小学生の娘が、修学旅行で東京スカイツリーに行ってきました。お天気が心配されましたが、無事に、登る事もでき、本当にうれしそうでした。日本の世界的技術を結集し、先の震災にもびくともせず、予想を上回る来場者数は、明るい話題です。こどもたちにも、日本の誇りと希望を与えるものだと思いたいものです。
 彼らが大人になる頃、2027年には、リニア中央新幹線の東京ー名古屋が開通する計画です。実現すれば、区間を約40分で結び、2045年には東京ー大阪が67分で結ばれます。乗り物好きなこどもには、「将来の夢はリニアの運転手」なんていうのも出てくるかと思いきや、リニアには運転席がなく、遠隔操作になるとか。既成概念では考えることができないことが益々増えそうです。駅の設置が予定される中津川市の広報7月号には、リニアのまちづくりのビジョン策定の取り組みスタートの記事が掲載されています。
 空輸も変わってきました。「LCC(ロー・コスト・キャリア)」と称して、従来、数万円はかかった航空運賃が数千円で搭乗できるような時代になってきました。飛行機での移動は、一部の限定的なものであったのが、「安くて、速い」が、「遠いを、近い」に変えていく時代に入りました。個人的には新幹線や飛行機に乗る機会は、滅多にありませんが、いざ乗ってみると遠いというイメージの場所がこんなに近いと驚きを覚えることがあります(田舎者ですね…)。インターネットの普及により、世界中のどこにいても最新の情報が手に入り、なおかつ、輸送の手段の利便性が益々向上していく。世界がどんどん近くなっていく時代です。
 一方で、郡内の「無人駅化」が進んでいく現実があります。前述の世の中の動きと現実がかい離していくようにも感じます。車社会が発展し、自動車業界が国家産業となった時代。車は山間部での暮らしには不可欠であり、「好きな時に、好きな場所に」と個人の趣向も変化してきました。電車を活用した観光利用を増やす手立てでも無ければ、採算性を重視した民間会社の駅の廃止は不可避なのでしょうか。財政赤字が減らない一方、北陸や九州の新幹線延長に巨額な国費を投じると、今の国会で承認されたり、地元の巡回バスもかなりの公費が投入されています。「公共交通機関をご利用ください」と言われたら、どう解釈したら良いのでしょうか。
今月も、お元気様です。(12・7・11)
株式会社 エマ商会  依 馬  邦 夫