『穴熊社長の、蛙鳴蝉噪(あめいせんそう) 2013年11月号』

この10月で、20年に1度の式年遷宮が「遷御の儀」をもって、幕を閉じました。「何事の おはしますかは知らねども かたじけなさに涙こぼるる」と、西行が詠んだ伊勢神宮。「どなた様が祀ってあるか、どんなご利益があるかなど詳しい事は知らないけれど、そこに一歩踏み入れば感激して涙が溢れ出てくる」…確かにそんな不思議な荘厳さが‘お伊勢様‘にはありますね。御神木が送り出された木曽の深山に住み、各儀式に係わった人からすれば、感慨もひとしおでしょう。
 ご存知の通り、式年遷宮は、飛鳥時代の天武天皇が定め、持統天皇(690年)が第1回目を行ない、およそ1300年続いている行事です。異国ギリシャでは永遠に存続するものと信じて神殿を大理石で造る。わが国は、文化や技術の継承も込めて、「20年経ったら、壊して建て替える」ことを前提に、たくさんの日本の民が力を合わせて伝承していく。大変だと言いつつも、誰も「面倒だからやめようよ」なんて事を言わずに、現在も続いている。まさに、「神がかり」を続けているのが日本人ですね。
 現実的な問題として、今回の遷宮の費用は前回に比べると5倍強の費用(約328億円)がかかったと言われています。寸分狂わぬ同じものを造るといっても、時代が変われば、調達が困難な資材も出てくるでしょう。1300年の間にあって様々な困難もあり、それを乗り越えてきた。そしてこれからも続けようと言っている。信毎新聞には、「次回も木曽から」との声も掲載されていました。苦労はしても、「過去と未来をつなぐ、今の私」がいます。 バブル経済崩壊後、失われた20年と閉塞感が続いていましたが、アベノミクス以降、この1年で空気の変化も感じます。2020年東京オリンピック開催が決まり、リニアも現実のものとなってきました。皆が目指す未来や目標、希望があると、人の気持ちも変わります。翻って、身近に目をやれば、地域の伝統的な祭事をはじめ地域の行事や諸活動の継続が、年を追う毎に難しくなっている現実があります。 地域の秋まつりに協賛し、始まった「ふれあい感謝デー」も18回目を迎えます。近年、目新しい事も出来ず、十分なおもてなしもできてませんが、日頃のご支援に対し「感謝の倍返し!!」の意気込みで、今年も準備に取り組んでいます。常若(とこわか)とおかげ様の精神を忘れずに、今月も、お元気様です!!
(13・10・10)
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