『穴熊社長の、蛙鳴蝉噪(あめいせんそう) 2014年4月号』

震災から3年が経過しました。それに合わせてメディアでも被災地の復興状況が報道されます。何かできることと思っても何もできずに、日々の事に追われ、目の前の事で、手一杯の3年が過ぎました。人の心配をするどころか自分のことすらままならず、映像や情報を目にすると無力さを感じます。
 復興は遅々として進まず、まだまだ瓦礫の処分すら手つかずの地域も。平らにはなっても住宅や生活に必要な施設やお店、インフラ整備もされていない。まだ16万人の方が避難生活を余儀なくされる。首相が東京五輪実現に向け「制御されている」と表明したはずの福島原発も、汚染水には歯止めがかからない。帰りたくても帰れない立入禁止区域は荒れ果てる…シャッターが閉まり、野生化した家畜やペットが俳諧したり、荒地化、廃墟化した街並み。少年な憧れの立派なサッカー施設は、除染廃棄物や瓦礫の山に…。

その中で、ソチでは被災者である羽生選手の金メダルは、大きな救いでしたが、五輪開催国の隣国への軍事行動。今度は、夏に向けてサッカーW杯の話題と思いつつ、開催国ブラジルの反政府デモ。混沌の印象はぬぐえないかと。

 一方、私たちの暮らす脚下は。木曽の人口も3万人割れ目前。弊社のような地域密着型で暮らしに関連した仕事柄、人口減少の切実さを実感します。都道府県別空き家率は長野県は、ワースト2位。その中での、山間地木曽。昨年、国交省の全国調査では空き家を所有している1割強が放置状態との事。皆さんのお住まいのご近所ではいかがでしょう。
一人暮らしでお亡くなりになり、子供も孫も帰ってこない。帰ってこなかったとしても、定期的に法事やお墓参りに、木曽に帰省する方も年々減少しています。介護施設へ入所して木曽を離れて空き家になる。何かしら御身内の方が管理している間はまだしも、年々廃墟化の足音が大きくなってきた印象もあります。震災のような甚大な被害があったわけでもなく、被災者の気丈で前向きな努力に比べれば、もっと目の前の事に対してできることもあるはず。

東北の被災地も被災する前には、人口減少時代の地方の抱える問題は同じようにあったはず。それに加えて自然災害。ここに暮らす私たちは、「人災」による未来への禍根を残さぬ努力を積み重ねばと思います。
今月も、お元気様です!!
(2014・3・9)
株 式 会 社 エ マ 商 会   依 馬  邦 夫