この7月に国連が発表した人口に関する推計。世界人口の増加率が、統計を遡れる1950年(昭和25年)以降で初めて1%を割り込み最低となったと発表されました。人口規模が世界最大の中国も長年の「一人っ子政策」などの影響で、2022年(令和4年)から人口減に転じ、2023年にははインドが世界最大の人口となっていく。14億人と言われる中国の人口は、2050年時点で13億人、2100年には7億6千万人へと減少。日本にあっては、同様の基準年で、1億2千万人→1億人→7500万人と減少。けれど、世界人口は、今年80億人に達する模様。20世紀の世界全体の経済成長は、生産年齢人口の15歳~65歳といった主要な働き手の比率の高さが経済成長をけん引するという、所謂、「人口ボーナス」が源泉となった時代でした。平成生まれの方は、ピンと来ないかも知れませんが、昭和を懐かしむ世代は、世界と日本を重ね合わせてご理解されるところでしょう。
世界的人口増加は、経済成長のプラスの点もあれば、世界的な課題も引き起こしています。経済成長とともに、食糧危機の懸念が現実化、地球環境の汚染、化石エネルギーの大量消費から、気候変動による自然災害が深刻化される21世紀となっています。
出口の見えない、ウクライナ侵攻中のロシア。人材の流出が止まらないという新聞(日経)記事がありました。この戦争は、ロシア人の祖国離れを引き起こしている。特に、国の将来の成長のカギを握る「頭脳流出」が起きているということです。「ものづくり大国」と言われた日本にあっても、少子高齢化により働き手不足が切実な上、最先端のデジタル技術を担う教育が世界的に遅れていたり、30年賃金水準が上がらず、理系の優秀な人材が海外企業に流れている面もあります。人に優劣をつけるのはどうかと思うところはあっても、「高度人材」は国境を越えて争奪戦の様相です。
ウクライナ侵攻で長年維持してきた軍事的中立政策を転換したスウェーデン。ロシアの脅威に晒されてはいるものの、北欧の多くは幸福度の高い国とされてきました。スウェーデンは、昭和の大恐慌の時代には、「人口問題の危機」に直面していたところ「出生減は個人の責任ではなく社会構造の問題」という教訓を生かし、復活を果たしたという歴史もあるようです。
人口が増え続けても、減り続けても、課題が出てきます。他国の領土を侵害し、他国の国民を支配下にしようとする戦争。戦後日本は、平和憲法と米国との安全保障により平和が維持されてきましたが、憲法改正や自国防衛の必要性が待ったなしの議論とされている時代です。山間地域の木曽にあっての課題も山積しますが、世界的視点に立った平和のあり方、令和から未来に向けた人類の幸せのあり方を示せる大人でありたいものです。
今月も、お元気様です。(22・7・26)